天然の木や石材などの自然素材で建てられた注文住宅は、オリジナルのデザインを作りやすく人気の選択肢です。素敵な見た目はもちろん、暮らしやすさや耐久性など自然素材にはメリットがたくさん。この記事では自然素材で注文住宅を建てるメリットや、建てる際に注意すべきデメリットなども詳しく解説。写真付きの施工事例もありますので、これから家を建てる方は参考にしてみてください。
■自然素材とは?
言葉の意味から何となくのイメージはしやすいものの、実際に住宅に使われる自然素材にどんなものがあるかと聞かれるとわかりませんよね。まずは住宅に使用されることが多い代表的な自然素材を一つずつチェックしていきましょう。
・無垢材
木からそのまま切り出した無垢の木材は、フローリングや壁面、対面キッチンのカウンターなど、直接触れることが多い場所によく用いられます。木そのものの香りが楽しめ、独特の優しい風合いは合板フローリングにはない特徴です。木の種類や塗装の仕上げ方法によって様々な風合いがあり、使用する面積が多いためデザインに大きな影響を与えます。
・漆喰/珪藻土
古くから日本の住宅で使われてきた漆喰や珪藻土は、室内の壁面に採用されることが多い素材です。ビニールクロスのようにつなぎ目がない美しい仕上がりが得られ、表面に模様をつけることで様々なデザインに対応できます。どちらかといえば、滑らかな仕上がりになる漆喰は和風住宅で多用され、ざらざらした仕上がりになる珪藻土は洋風での採用が多いです。
・石材/レンガ/タイル
自然から切り出した石材、粘土などを焼き固めるレンガ、陶器であるタイルなどは、室内外の床・壁面に用いられます。素材自体の耐水性が高いため、トイレや洗面など水回りの床に用いられることも多いです。色や質感の選択肢が多く、素材の選択で大きくテイストを変えられるのも特徴。素材自体の耐久性が高いため、玄関アプローチや駐車場など外部にも使用できるなど活躍の場が広い素材です。
■自然素材で建てるメリット
デザインや触り心地などのほかにも、自然素材の家にはメリットがたくさんあります。意外と知られていないメリットもありますので、ひとつずつチェックしていきましょう。
・健康被害が少ない
自然素材は接着剤や化学物質の使用が少ないため、シックハウス症候群やアレルギーなどの健康被害のリスクを抑えられるのは大きなメリット。気密性の良い現代の住宅では、わずかな化学物質もアレルギー反応の原因となることがあります。小さなお子さんやアレルギー体質のご家族がいる方には、健康リスクの少ない自然素材は特におすすめです。
・素材の経年変化が楽しめる
色味や質感など、使うほどに変化していく過程も楽しめるのは自然素材独自のメリットです。人工的に加工された建材は年数が経つごとに劣化が進んでいき意匠性が低下しますが、自然素材は変化がむしろ味となってデザインに深みを与えます。100年以上前に建てられた木造のお寺のように、年数が経つほどに重厚感が増していくため、住むほどに愛着を感じることができるでしょう。
・気持ちよく過ごせる
余分な湿気や臭いを吸着してくれる珪藻土の壁や、木の香りを与えてくれる無垢材など、自然素材を使った家は心地よい空気の中で暮らすことができます。建てたばかりの家は新品のビニールクロスや合板フローリングの臭いが鼻につくこともありますが、自然素材の住宅は自然な香りでなじみやすいです。優しい見た目でリラックスしやすいのも大きなメリットです。
・高級感がある
一つとして同じデザインがない自然素材は、オリジナリティや高級感を出しやすいのも特徴。例えば同じ材質の無垢フローリングを使ったとしても、一枚ごとの木目が違うため一つの部屋の中でも様々な雰囲気が出ます。手が込んでいる印象を与える効果もあり、見る人に高級感を与えるというわけです。おしゃれなカフェや高級ホテルなど、ゆったり過ごせる上質な空間に自然素材が多く使われているのも高級感を感じる理由の一つ。
・耐久性が高い
素材そのものを加工した自然素材は、人工的につくられた材料と比べて耐久性が高いのも大きなメリット。例えば駐車場やアプローチなどによく用いられるコンクリートは、雨や紫外線で風化していき最終的には崩れます。一方、自然に存在する石材は削れることはあって風化には強く、素材によっては数百年前から残っている物も少なくありません。石材を敷き詰めたアプローチは、目地などもメンテナンスは必要ですが長く使うことができます。
室内に使う無垢材も、合板や集成材と比べると耐久性は高いです。木から切り出した無垢材で建てられたお寺やお城などの古い建造物が、今でも現存しているのがなによりの証拠です。
■自然素材の家を建てる際のデメリットや注意点
メリットと魅力がたくさんの自然素材ですが、一方で扱いに注意すべき点やデメリットもあります。長く美しさを保つためには事前に注意点を知って正しく対応することが大切ですので、一つずつチェックしていきましょう。
・ヒビや膨れなどの変化があることを理解する
素材の耐久性自体は高い自然素材ですが、気温や湿度の変動による変化があることはあらかじめ理解しておきましょう。例えば木材は湿度や温度で伸縮する性質があり、年数が経つうちに細かいヒビや節目の欠けなどが起こる場合があります。合板や集成材など複数の木材を張り合わせた材料は変化が少ないですが、無垢フローリングなどは変化の影響を受けやすいです。
こうした細かいヒビなどは耐久性に影響がなく、外観上の味となるためメリットとして歓迎する方も多いです。年数が経つほどに、使い込まれたアンティーク家具やヴィンテージ楽器のような雰囲気を楽しむことができます。
ただし、ずれやヒビのない工業製品のような仕上がりが好みな方には向きません。自然素材を検討する際は、こうした特性もしっかり把握しましょう。
・汚れなど扱いに多少の注意が必要
見た目や触り心地で素材感を楽しめる自然素材ですが、汚れや水分などに対する扱いには注意が必要な材料もあります。木の触り心地を楽しめるようコーティングを弱くしている無垢材などは、水分が染み込みやすくなります。コーヒーや調味料など色味の強いものをこぼすとしみになる場合もあるため、キッチンやダイニング周りはマットを敷くなど工夫しましょう。
・初期コストを多めに見積もっておく
自然素材は一般建材と比べると材料自体のコストや施工費が高くなる傾向があるため、初期コストは多少多めに見積もっておきましょう。ビニールクロスや合板フローリングなどの材料は製造・施工コストを削減するために生み出されたものなので、費用自体は安く抑えられます。
例えば合板フローリングは薄くした木材を張り合わせて作るため、一本の木を無駄なく使うことができます。対して、一枚の板を丸太から切り出す無垢フローリングの場合は、どうしても端材ロスが出るのは避けられません。結果的に製造コストがかかるため、材料費自体は自然素材の方が高くなります。
しかし、前述したように自然素材は総じて耐久性が高いため、適切なメンテナンスをすれば長く使用することができます。初期費用は多めですが、長く使えて交換費用も節約できるため結果的にはオトクになるケースも多いです。
■自然素材を使った家の施工事例
無垢の木材やレンガなど、自然素材を活かして建てられた施工事例をいくつかピックアップしてご紹介します。デザインや間取り、家具のセレクトなどもご自分の家をつくる際の参考になりますので、実際に生活しているイメージでチェックしてみましょう。
施工事例1
やさしい色合いの無垢フローリングのリビングに薪ストーブを採用した事例です。レンガの自然な質感が、主張しすぎないアクセントにもなっていてなんとも暖かみのある雰囲気。寒い冬も家族が集まってリラックスする風景が想像できますね。ローテーブルやテレビ台にも自然素材を採用して、全体の統一感もしっかり出ています。
施工事例2
キッチンカウンターをシンプルなホワイトでまとめて存在感を抑え、背面の収納棚や作業スペースを無垢材にすることで全体の雰囲気を整えています。コンロ脇のレンガデザインも、自然素材と調和したアクセントとなっています。
施工事例3
ナチュラルカラーのフローリングとホワイトでまとめたシンプルな空間に、ダークカラーの梁でシャープな印象を与えています。奇をてらわないデザインは家具がよく映え、長く住んでも飽きがこないのが特徴。長持ちする自然素材の家にピッタリといえますね。
■まとめ
美しい意匠性や耐久性などメリットがたくさんの自然素材ですが、注意すべきポイントもあります。検討する際は、自然素材を使った施工実績を持つプロの工務店に相談しましょう。四季彩建設は豊富な経験から、ライフスタイルと好みに合わせた自然素材の家づくりをサポートいたします。様々なテイストをチェックできるモデルハウスもご用意していますので、見学だけでもお気軽にお声かけください。
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