現代の住まいづくりは設備などの性能面に加えて、快適性や健康面に関して注目されています。特にシックハウス症候群などの健康被害を防ぐための健康住宅の需要が高まっています。そこで今回は、健康住宅に住むメリットや特徴、どのように造るのかなどをプロ目線で解説します。実際に建てられて写真付き事例もご紹介しますので、参考にしてください。
■住まいによる健康被害は増加している
現代の住まいは施工技術やサッシなど開口部の進化によって気密性が向上しており、カビ・ダニなどのハウスダストや化学物質による健康被害が増加しています。
シックハウス症候群という名前を耳にしたことがある方は多いと思います。これは建材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質が日々の暮らしで体内に蓄積し、免疫力が低下してアレルギーなどを引き起こす現象です。フローリングやクロスなどに含まれる化学物質は上限が定められていますが、敏感な方や小さなお子さんは発症してしまう事が少なくありません。
このような住まいの健康被害は年々増加しており、被害を食い止めるために健康住宅に注目が集まっています。現代の住宅は耐久性の向上によって寿命が延びているため、長年住めば健康への影響も大きくなります。健康住宅の需要は今後さらに伸びていくことでしょう。
■健康住宅の特徴とメリット
健康住宅には法規で定められた厳格な基準はありませんが、家族全員が健康被害を受けることなく快適に暮らせる家の事を指します。まずは具体的な健康住宅の特徴をチェックして、どんな住まいなのか理解していきましょう。
・空気がきれい
私たちは普段無意識に呼吸しているためありがたみを感じるのは難しいですが、健やかな暮らしにはきれいな空気環境が欠かせません。ホコリやカビ、嫌な臭いが立ち込めている空間に居ると、のどの痛みなど身体的な被害だけでなく精神的にもつらいですよね。健康住宅は使用する建材や換気性能などによって、きれいな空気を保てるのが特徴です。
健康住宅はきれいな空気を保つために、換気や湿度のコントロールなどの工夫が盛り込まれています。住まいは寝ている時間を含めると人生の大半を過ごす時間。きれいな空気の中で過ごすことは、健康の維持や気持ちの面で大きなメリットがあるといえるでしょう。
・化学物質が少ない
前述したように建材に含まれる化学物質は体に影響を与える可能性があり、健康住宅は化学物質をなるべく使わないのが特徴です。
昔の日本住宅と比べて現代の一般的な住まいは、性能や効率を向上させるために化学物質を使う工業製品がどんどん増えてきました。例えば建物を支える柱は一本の木から切り出す無垢の木材から、複数の木材を張り合わせる集成材が主流になっています。集成材は一本の木から作れる本数が増えるためコストが削減でき、曲がりやねじれに強いメリットがありますが、接着剤に化学物質が含まれます。
健康住宅は使用する建材に工夫をすることで化学物質をなるべく減らして、健康被害防止を目的としています。体が小さく化学物質の影響を受けやすいといわれる赤ちゃんやペットがいる家庭では特にありがたいメリットですね。
・室内の温度差が少ない
最近は冬暖かく夏涼しい高断熱・高気密の家が増えてきていますが、健康住宅はそれに加えて各部屋の温度差が少なく、どの部屋も快適に過ごしやすいのが特徴。居室・廊下・トイレなどの部屋間に温度差があると、移動する際に不快感があるだけでなく健康被害をもたらす場合があります。
住まいの温度差による健康被害は、例えば急激な温度変化によるヒートショック現象が有名です。特に冬場に起こりやすく、温かい部屋から寒い部屋に移動した際に血管が収縮して血圧が上昇、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす症状です。お風呂の出入り時に発生するケースが多いですが、トイレや廊下などでも発生する事例が報告されています。また、高齢者特有の症状だと思っている方も多いですが、年齢に関係なく発生する可能性があるため若い方も注意が必要です。
健康住宅は住まい全体を同じ温度に保ちやすいため、ヒートショック現象が発生しづらくなります。また、季節に関係なく暑い部屋と寒い部屋の移動がなくなるため、家全体を快適に移動できるのも特徴。
■健康住宅の作り方
実際に健康住宅を作るためのポイントを3つご紹介します。必要となる性能や材料のほかに、どんなメリットがあるのかという点もチェックしていきましょう。
・自然素材を使う
健康住宅をつくるにあたっては、なるべく化学物質を使用していない自然そのものの建材を使うのが有効です。接着剤を使用していない無垢のフローリングや壁材、漆喰や珪藻土など自然由来の建材が代表的です。シックハウス症候群の原因となる化学物質自体を減らすことで、健康被害の減少が期待できます。
このような自然素材の内装材は意匠性への影響も大きく、優しい肌触りや質感は見た目のリラックス効果も期待できます。木材の気持ち良い香りは、森林浴のような気分でとても気持ちが良いものです。また、自然素材は正しいメンテナンスで長く使うことができるというメリットもあります。
・断熱・気密性能を高める
建物内の温度差をなくしヒートショック現象を防ぐためには、住まい全体の断熱性・気密性を高める必要があります。最近の住宅ではペアガラスや二重サッシの採用が増えていますが、暑さ・寒さは断熱や気密性能の低い場所から出入りするため一部の対策では効果がありません。
屋根・壁・床全面的に断熱処理を施し、窓やドアなど外部と通じる開口部まで断熱することで家全体を保温できます。ただ断熱材を入れるだけではなく、発泡断熱材など新しい技術も活用しながらすき間もなくし気密性も高めます。
断熱・気密性の高い住まいは冷暖房が効きやすくなり、光熱費を軽減する効果も期待できます。
・カビやダニの発生を防ぐ造りにする
断熱性・気密性が高い自然素材の造りにしても、湿度が高くカビやダニが生えてしまっては元も子もありません。健康な住まいにするためには、換気や掃除のしやすいつくりにして清潔な状態を保てることが重要です。
24時間換気などの設備も有効ですが、空気の流れを考え湿気がたまらない間取りや構造にすることも大切です。床下からの湿気が上がってこないようにする防湿構造で結露を防ぐなどの方法もあります。
お風呂や洗面所などの水回りは特に湿気が溜まりカビが発生しやすいため、お掃除しやすい造りにしておきましょう。水回りの汚れはカビやダニの発生原因となるため、普段から汚れをためないようにすれば防ぎやすくなります。いつでもきれいな状態で使えて気持ちよく過ごせ、健康も保てるため一石二鳥ですね。
■健康住宅の施行事例
実際に建てられた健康住宅を写真付きでご紹介します。使用している材料の特徴や、素敵なデザインにも注目してみてください。
・施工事例1
無垢材・タイル・レンガなど自然素材をふんだんに活用した気持ちの良いリビングには、体にやさしい薪ストーブを設置。ファンヒーターやエアコンとは一味違う、輻射熱による自然な暖かさは健康に良いだけでなく快適性もばっちり。自然と家族が集まる素敵な空間となっています。
・施工事例2
フローリングや壁材、梁や柱などの構造材まで無垢の木材にこだわった自然素材のLDK空間です。見ているだけで木の香りが漂ってきそうな気持のよい空間は、一枚ごとに模様が違う無垢材が与える高級感も感じられます。キッチンの扉材や面材まで無垢にこだわり、デザイン全体の統一感も計算しています。
■健康住宅は実物をチェック
空気の気持ちよさや空間の快適度など、健康住宅の特徴は写真や文章だけではすべて伝わりません。住まいを立てる前に、必ず一度実際の健康住宅を体験してみてください。
とはいえ自力で健康住宅を建てた知り合いを探すのは大変なこと。手軽にチェクするならモデルハウスを活用しましょう。四季彩建設は自然素材をふんだんに使った自社モデルハウスをご用意しています。デザインや間取りも参考になりますので、遊びにいらっしゃる気分でお気軽にご活用ください。
また、実際にお施主様と打ち合わせを重ねて建てたお住まいの完成見学会も随時開催しています。健康に暮らすためのアイデアや、理想のイメージを形にする家づくりが勉強できて大変役立ちますので、タイミングが合えばぜひご参加してみてください。
■まとめ
健康被害を軽減して快適に暮らせる健康住宅は、住宅の寿命が延びるこれからの時代のスタンダードになってくると考えられます。今から注文住宅を建てるならぜひ検討してみてください。健康住宅の作り方にはコツや経験が必要となるため、専門の施工店で建てる必要があります。四季彩建設は自然素材をふんだんに使った高性能の健康住宅づくりをサポートいたします。健康面に不安がある方、快適な住まいを作りたい方などもお気軽にご相談ください。
人気雑誌&home掲載!