
眩しい日差しに照らされた石造りの街並み、窓辺を彩る鎧戸、木陰のテラスで語らう人々。
フランスの夏には、穏やかで心地よいイメージがあります。
しかし、南部や内陸部では気温が40度を超えることもあり、パリでも熱波が訪れると厳しい暑さに包まれます。
それでも人々は、暑さをただ遠ざけるのではなく、住まいと暮らし方を工夫しながら上手に付き合ってきたのです。
そこでこの記事では、フランスの夏の気候と、鎧戸や石造りの壁、日陰を生かした暮らしの知恵をご紹介します。
このコラムを読んだら分かること
- フランスの夏の気候と地域ごとの違いがわかります
- 鎧戸(ヴォレ)が室内の涼しさを守る仕組みをお伝えします
- 石造りの壁や窓の配置を生かした暑さ対策がわかります
- フランスで受け継がれてきた夏の過ごし方も参考になさってください
- 日本の住まいに取り入れられる工夫をお伝えします
目次
フランスの夏は本当に暑いのか

フランスは日本より緯度が高いため、夏も涼しいと思われがちです。
しかし、国土は南北に広く、海や山脈からの距離も異なることから、地域によって夏の表情は大きく変わります。
主な地域の特徴は、次のとおりです。
- ブルターニュなどの西部:大西洋の影響を受け、夏の気温は比較的穏やか
- パリなどの内陸寄りの地域:沿岸部より寒暖差が大きく、熱波の際には気温が上昇しやすい
- プロヴァンスなどの南部:夏の雨が少なく、乾燥した強い日差しが続く
南フランスの青空は美しいものの、その日差しはとても力強く、熱波の際には40度を超える地点もあります。
日本のような蒸し暑さとは異なりますが、乾燥しているから過ごしやすいとは限りません。
パリでも暑さが厳しくなると、街の空気は一変します。
なぜなら、日中に石畳や建物が熱を抱え込み、日が沈んだあとも暑さが残るためです。
46度を記録したフランスの夏
2019年6月28日には、南部のヴェラルグで46.0度を観測しました。
これは、フランス気象局「Météo-France」が認定しているフランス国内の最高気温です。
同じ日には、ヴェラルグから10kmほど離れたガラルグ=ル=モントゥーでも45.9度を記録しています。
出典:Météo-France「フランスで観測された最高気温」
これほど厳しい暑さを記録する一方、フランスの伝統的な住宅を見渡すと、暑さへの備えは決して新しいものではないことに気づきます。
機械設備がなかった時代から、人々は日差しや風の動きを読み、室内の涼しさを守ってきました。
フランスの住まいに受け継がれてきた暑さ対策

フランスの古い石造りの家には、自然の力を生かして暑さを和らげる工夫が残されています。
- 鎧戸で窓に当たる日差しを遮る
- 厚い石壁で熱が室内に伝わる時間を遅らせる
- 外が涼しくなってから窓を開ける
- 窓の配置によって風の通り道をつくる
いずれも目新しい設備ではありませんが、、建物の構造と一日の気温変化を上手に組み合わせることで、室内の心地よさを保ちやすくなります。
鎧戸(ヴォレ)で日差しを外側から遮る
フランスの街を歩くと、窓の外側に木製や金属製の鎧戸を備えた家々が目に入ります。
フランス語では「ヴォレ(volet)」と呼ばれ、石造りの外壁にやわらかな彩りを添える建材です。
淡いブルーやグリーンに塗られたヴォレは、フランスらしい外観をつくるだけではなく、夏の日中に閉めることで、強い日差しを窓ガラスの手前で遮ります。
室内に入った熱をカーテンで防ぐのではなく、そもそも熱を窓に届かせないという考え方です。
朝の涼しいうちに窓を開け、家の中に風を通すといった工夫で、室内の涼しさを守ります。
夕方、外の空気が冷えてきたら再び窓を開けるのです。
こうした窓辺の開け閉めにも、季節と共に暮らす一日のリズムが表れています。
厚い石壁が温度変化を穏やかにする
フランスの伝統的な住宅には、その土地で採れた石やレンガを使った厚い壁が見られます。
年月を重ねた石壁に触れると、真夏でもひんやりと感じることがありませんか。
石やレンガなどの重い材料は熱を蓄える容量が大きく、外気温が上昇しても、その影響が室内に届くまでに時間がかかります。
ただし、石壁も熱を受け続ければ、やがて室内側へ熱を放出します。
日中はヴォレで日差しを遮り、夜間は風を通して室内にこもった熱を逃がすといった組み合わせによって、石造りの家ならではの涼しさが保たれてきました。
天井の高さや窓の配置を生かす
フランスの古い住宅には、天井の高い部屋も多く見られます。
天井が高ければ必ず室温が下がるわけではありませんが、室内の空気量にゆとりが生まれ、暖まった空気が人の過ごす高さより上にたまりやすくなります。
向かい合う壁に窓がある住まいでは、風の通り道をつくることも可能です。
外気温が下がった時間帯に窓を開ければ、一日の間にこもった熱を外へ逃がしやすくなります。
反対に、外のほうが暑い日中まで窓を開けていると、熱気を室内へ招き入れてしまいます。
窓を閉じて暑さを防ぐ時間と、風を取り込む時間を使い分けることが大切です。
暮らし方で暑さをしのぐフランスの習慣

フランスの暑さ対策は、建物だけで対応できるものではありません。
暑い時間帯は無理に動かず、涼しくなってから外へ出るなど、暮らし方そのものにも知恵が息づいています。
南フランスの夏は、昼間からヴォレを閉めた家々が並び、街が静まり返ったように見えます。
しかし、夕方になって暑さが少し落ち着くと、テラスや広場に人々の姿が戻り始めます。
飲み物と軽いおつまみを囲み、家族や友人と会話を楽しむアペロの時間です。
夏のフランスは日没が遅いため、夕方から夜まで明るさが残ります。
空の色がゆっくりと変わる時間帯は、フランスらしい暮らしの豊かさが感じられるひとときです。
こちらの記事でも、アペロタイムの魅力について解説しています。
合わせて、ごらんください。
【関連記事】アペロタイムとは|フランスの夕暮れの習慣が教えてくれる豊かな暮らし方を解説
木陰と植物が涼しい居場所をつくる
南フランスの村や街では、広場や道沿いに大きなプラタナスが植えられています。
広く伸びた枝葉が強い日差しを受け止め、その下に人々が集まれる涼しい居場所をつくっているのです。
住宅の庭にも、次のような工夫が見られます。
- パーゴラに植物をはわせて日陰をつくる
- テラスの近くに落葉樹を植える
- 時間によって日陰になる場所を屋外の居場所に選ぶ
- 植物によって建物の外観に涼やかさを添える
落葉樹は夏に葉を茂らせ、冬になると葉を落とす植物です。
暑い季節は日差しを遮り、寒い季節には室内へあたたかな光を届けてくれます。
窓辺のヴォレや石壁に伸びる植物、木陰のテラスといったフランスらしい風景の美しさは、暮らしを守る実用的な知恵から生まれているのです。
こちらの記事でも、日々を快適に過ごすフランスの暮らしの知恵について解説しています。
合わせて、ごらんください。
【関連記事】「フランスの暮らし」から学ぶ、日々を豊かに過ごす知恵|ファッション・食文化・住宅の特徴を解説
暑いフランスでの暮らし方から学ぶ|日本の住まいで生かせること

フランスと日本では、気候も住宅の構造も異なります。
特に日本の夏は湿度が高いため、フランスの方法をそのまま取り入れるだけでは快適さは得られません。
大切なのは、ヴォレや石壁の形ではなく、そこに込められた考え方を読み取ることです。
窓の外側で日射を遮る
フランスのヴォレから学べるのは、太陽の熱を室内に入る前に遮ることの大切さです。
日本の住まいでも、軒や庇、外付けブラインド、オーニング、すだれなどを利用できます。
南側の窓には夏の高い日差しを遮る軒を設け、西側には低い西日を防ぐ日よけを取り入れるなど、窓の方角に合わせて計画しましょう。
室内へ入り込む熱が少なくなれば、エアコンの負担も軽くなります。
小さな工夫に見えても、夏の過ごしやすさを左右する大切な設計です。
断熱・気密・通風を一体で考える
フランスの厚い石壁が持つ熱容量を、日本の一般的な木造住宅でそのまま再現することは難しいものです。
日本では、断熱性能と気密性能を高め、外から伝わる熱を抑えることが基本になります。
ただし、断熱性能が高くても、窓から強い日差しが入り続ければ室内に熱がこもりやすくなるため注意が必要です。
次の要素を切り離さず、一体で計画しましょう。
- 窓の外側で日差しを遮る
- 断熱・気密性能によって外気の影響を抑える
- 涼しい時間帯に風を通して熱を逃がす
- 暑さや湿度が厳しい日は空調や除湿を利用する
無垢材や漆喰などの自然素材は、厚い石壁と同じ働きをするものではありません。
しかし、やわらかな手触りや光を穏やかに受け止める質感は、室内で過ごす人に心地よさをもたらします。
フランスやイギリスの住まいを現地で見てきた四季彩建設でも、海外の様式をそのまま採用するのではなく、日本の気候や敷地条件に合う形で取り入れることを大切にしています。
自然素材の美しさと、断熱・気密・日射遮蔽といった住宅性能の両方を丁寧に組み合わせることで、夏も冬も心地よく、年月を重ねるほど愛着が深まる住まいにつながるのです。
まとめ|フランスの暑い時期は暮らし方で工夫する
フランスの住まいには、ヴォレで日射を遮り、石壁で温度変化を穏やかにし、涼しい時間帯に風を通す知恵が受け継がれています。
暑い昼間は無理をせず、夕方からの時間を楽しむ暮らし方も印象的です。
フランスと日本では、気候や住宅構造が異なります。
それでも、「熱を室内に入れない」「土地の光と風を読む」「建物と暮らし方を一緒に考える」発想は、日本の家づくりにも生かせるのではないでしょうか。
暑さをただ我慢するのでも、設備だけで遠ざけるのでもなく、季節の移ろいを感じながら心地よく暮らす知恵は学びが多いですね。
フランスの夏の過ごし方は、これからの日本の住まいにも大切なヒントを届けてくれます。
四季彩建設は、自然素材や海外の住文化から学んだ空間づくりを生かしながら、お施主様一人ひとりが大切にしたい時間から住まいづくりをご提案しています。
茨城で、四季を通じて心地よい家をご検討中の方は、ぜひ「四季彩建設」にご相談ください。
地元密着・年間棟数を10棟に限定したスタイルで、お客様と一緒に理想の住まいづくりをお手伝いいたします。
四季彩建設の【施工事例】はこちらからごらんいただけます
茨城県石岡市には、実際の間取りやデザインをご体感いただける自社モデルハウスもご用意しております。
「初めてで、何もわからない」お客様にも、ご希望のデザインや間取りについてじっくりお話をお伺いし、適したプランをご提案いたします。
スタッフ一同、お客様のお越しを心よりお待ちしております。

四季彩建設











