暑さ対策は窓にも家全体にも必要ですが、どちらでする場合でも根本的な対策は新築時にするべきです。特に平屋や2階建て住宅の2階は暮らし始めてから、暑さ対策の必要性を感じることが多いです。
快適性を向上させるだけではなく、寒さ対策や省エネ性向上にもつながる暑さ対策を考えていきましょう。
コラムのポイント
- 新築時の暑さ対策は外壁や屋根などの家全体と窓でする必要があります。
- 断熱性と気密性の高い家ほど日射遮蔽が重要です。
- 暑さ対策には全館空調システムが役立ちます。
目次
注文住宅での暑さ対策のポイント
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夏涼しく冬暖かい家にするポイントには、住宅全体の断熱・遮熱性と、窓の断熱遮熱性、軒や庇での遮熱が挙げられます。
既存の住宅の断熱改修では低予算で高い効果が挙げられる為、窓のリフォームが行われることが多いのですが、新築の暑さ対策では寒さ対策と併せて、窓にも住宅全体にもする必要があります。
寒さ対策だけではなく暑さ対策に重要な断熱性と気密性の高さ
断熱と聞くと寒さ対策の為と思われる方も少なくありませんが、断熱性の高さは太陽熱の流入を抑え、気密性の高さは冷房の涼しさを逃がさない働きをして暑さ対策にも役立っています。
近年は国が補助金という形で住宅の省エネ化を推進していることから、新築住宅には断熱性の高い家が増えてきました。
国土交通省・経済産業省・環境省 「住宅省エネ2024キャンペーン」
断熱性の高い家とは屋根や壁、床などの外皮に断熱材を入れ、断熱窓を取り付けて住宅への熱の出入りを抑えて、外気温の影響を受けにくくしている住宅です。
外皮とは住宅が直接外気に触れる部分全てを指し、外壁や屋根の他に窓や玄関ドアなども含まれます。加えて、隙間からの熱の出入りを抑える気密性の高さが外皮の断熱性の高さを活かすことから、面からも隙間からも熱の出入りが少ない家が断熱性の高い家です。
窓の配置や開き方タイプで変わる暑さ対策の効果
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窓は外皮の中で最も熱の出入りが多い場所なので、断熱性と気密性の高さが住宅の室温に大きく影響します。暑さ対策の効果を変える要素はガラスの種類や配置、開き方タイプです。
断熱性の高い窓ガラスにはトリプルガラスやLow-E複層ガラスが挙げられ、どちらにも遮熱機能を併せ持つタイプがあります。
遮熱機能のある断熱ガラスとは、太陽熱による室温上昇を抑える働きをするガラスです。
次に窓の中で上げ下げ窓やすべり出し窓は、引き違い窓と比較すると気密性の高い窓です。その為、隙間からの太陽熱の流入や、冷房の涼しさの流出が抑えられます。
加えて、窓の位置も窓の働きを向上させたり低下させたりします。風通しの良さに対しては対面や高低差のある配置が有効です。一方、暑さ対策という面から考えると、掃き出し窓や高い位置にある窓は陽射しが家の中に入ってくる時間帯が長いので、夏は室温を上昇させます。
その為、窓の配置を考える際は、陽射しが入りにくい方角には高窓や掃き出し窓、陽射しが強く入る場所には小さめの窓など、窓の向いている方角や周辺の環境を併せて考えることが大切です。
外壁や屋根の素材から考える暑さ対策
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住宅の暑さ寒さ対策では断熱材の量やグレードの他に、外壁や屋根に使う素材も断熱性に影響します。プロヴァンスなど日射が強い地方で、白っぽい塗り壁と瓦屋根の家が多く見受けられる理由は、白は太陽熱を反射する働きがあり、塗り壁や瓦には熱を通さない働きがあるからです。
反対に窯業系サイディングの外壁は熱を蓄える為、日が落ちてからも室温が下がりません。特に黒色系の外壁は熱を吸収するので、同じ断熱材の量の白色系の外壁と比較すると、室温が上がりやすくなる為、断熱材の量を増やす必要があります。
また、屋根材の中で瓦は断熱性が高い素材のひとつなので塗り壁と瓦の組み合わせは暑さ対策に最適です。
暑さ対策に役立つ軒や庇、カバードポーチでの遮熱
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日本の住宅は昔から深い軒で日射を遮蔽してきました。軒とは屋根の外壁より外に出ている部分を指し、軒の出が深いほど日射を遮蔽する率が上がります。
同じように海外ではカリフォルニアスタイルのように、玄関からリビングまでの広い部分を覆うカバードポーチで日射遮蔽をする方法もあり日本でも人気です。
その他に海外デザインの中にはアーチ壁と庇を組み合わせる日射遮蔽の手段もあります。庇とは屋根以外で外壁に取り付けられている小さな屋根のような部分です。アーチ壁とは外観をヨーロッパ風に演出するアーチ形にくりぬかれた壁です。
これらの家の外でする日射遮蔽は、カーテンやブラインドなど、室内側からの日射遮蔽と比較して、より高い効果を上げます。
家の外側での日射遮蔽には、スダレやアウターシェードなど後付けできる方法もありますが、軒や庇、カバードポーチ、アーチ壁などでする日射遮蔽対策は、新築時でなければできません。
住宅の外観デザインを決める際は、おしゃれさだけではなく日射遮蔽についても併せて考えながら計画を進めましょう。
夏の暑さ対策に効果的な全館空調
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断熱性と気密性の高い家では、ひとたび窓から太陽熱を家の中に入れてしまうと、その熱を逃がさない為、一般的な住宅より夏は暑くなりやすいという問題点があります。
日射遮蔽対策がされていない窓が閉まっていて、エアコンも稼働していなかったとしたら、入ってきた熱は逃げ場がないので家の中に留まり、家の中の温度が上昇します。
夏の季節に仕事や用事で外出して帰宅すると、家の中がムワッとして暑いという体験をされた方もいらっしゃることと思います。春や秋、夏の早朝なら窓を開ければ風が通って涼しくなりますが、夏の日中は窓を開けたとしても、熱い空気が入ってくるだけです。
冬は熱を逃がさない働きが寒さ対策として大いに役立ちますが、夏は窓の日射遮蔽が必要です。加えて断熱性と気密性が高い家に効果的な暑さ対策が24時間空調です。
断熱性と気密性の高い家では、暑ければ熱が留まると同時に、ひとたびエアコンで家の中を涼しくすると、その涼しさが逃げて行かないからです。
室温が上がってからエアコンを稼働させると電気代がかさんでしまいます。ただ、断熱性と気密性の高い家では窓からの遮熱ができていれば、熱を採り込まず涼しさを逃がさない為、常に涼しくしておくとかえって電気代を節約できます。
全館空調は就寝中にも外出時にもエアコンを稼働し続けるので、タイマーで冷房が切れた後に寝苦しくなって目覚めたり、帰宅後涼しくなるまでに時間がかかったりすることがありません。
24時間稼働することに対しては、「相当な電気代になるのでは?」「その間ずっと窓を閉めっぱなしにしておくと換気ができず、空気が悪くなりそう…」といった疑問があることと思います。
確かに方法によってはどちらもあり得る話です。その為、電気代を抑え、換気をして家中のきれいな空気を維持する冷暖房という方法をとることが大切です。24時間冷暖房をする方法には全館空調と、暖房用床下エアコンと冷房用小屋裏エアコンをそれぞれ取り付ける方法があります。
この2つの方法のうち、全館空調は1台のエアコンで換気と除湿と併せて冷暖房するという理想的なシステムで、暑さ対策にも寒さ対策にも役立ちます。
四季彩建設では全館空調にガデリウス社の24時間換気システムを採用しています。
ガデリウス・ホールディング 24時間換気システム
G-Air 24時間換気システムとハウジングエアコンの組み合わせ
新築時、冬の寒さ対策についてこだわる人は多くいらっしゃいますが、夏の暑さ対策に対してはあまり意識しない人が少なくありません。その理由は深い軒があり、引き違い窓と隙間の多い昔ながらの日本の家づくりでは、断熱性・気密性の高い現代の家と違い、涼しさが保ちやすい家だったからなのかもしれません。
ただ、暑さ対策がされていない家での暮らしは、暑さが快適性を損なってしまいます。暮らし始めてから後付けで日射対策をしたり、サーキュレーターを購入したりする必要がないよう、新築時に断熱と遮熱、空調システムで暑さ対策をしておくことが大切です。
夏は涼しく冬は暖かい家で暮らしたいとお考えの際にはお気軽にご相談ください。
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