
海外の住宅には、日本の住まいとはまた違った魅力があります。
石やレンガを使った外壁、印象的な窓辺、年月を重ねた木の床など、写真や映画で見た海外の家をきっかけに「こんな家で暮らしたい」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただし、海外の住宅らしさは、装飾的なデザインだけで生まれるものではありません。
その土地の気候や歴史、そこで暮らす人々の生活から生まれた建築や素材の使い方にも、海外住宅ならではの魅力があります。
この記事では、海外の住宅がおしゃれに見える理由をデザインや素材、窓、家具との関係からひも解きながら、日本の家づくりに取り入れるポイントを解説します。
このコラムを読んで分かること
- 海外の住宅に見られるデザインの特徴が分かります
- 国や地域によって住宅が異なる理由をご紹介します
- 海外住宅で使われる素材や窓の特徴が分かります
- 日本で海外住宅の魅力を取り入れるポイントをお伝えします
- 長く愛着を持てる家をつくる考え方が分かります
海外の住宅には地域ごとに異なる魅力がある

「海外住宅」とひとことで表しても、その姿は国や地域によって大きく異なります。
英国の住宅とフランスの住宅、北欧や南欧の住宅では、外観だけでなく、使われる素材や屋根、窓などにもそれぞれ特徴があります。
こうした違いは、単なるデザインの流行から生まれたものではありません。
雨の多さや気温、日照時間、その土地で手に入りやすい建築材料など、さまざまな条件とともに住宅文化が育まれてきました。
代表的な地域の住宅には、次のような特徴が見られます。
| 地域 | 住宅に見られる特徴 | 代表的な素材・意匠 |
|---|---|---|
| イギリス | 歴史的な様式を残した住宅が多く見られます | レンガ、石、スレート、サッシ窓など |
| フランス | 地域によって石造住宅や都市型住宅など多様な建築があります | 石、漆喰、木、アイアンなど |
| 北欧 | 光を室内へ取り込む工夫や木を生かした住宅が見られます | 木、明るい色、シンプルな家具など |
| 南欧 | 強い日差しや暑さを考慮した住宅が見られます | 石、タイル、塗り壁、テラコッタなど |
もちろん、同じ国のなかでも地域や年代によって住宅のスタイルは変わります。
そのため、「海外風」というひとつのスタイルで考えるより、どの国や地域の、どのような住まいに魅力を感じるのかを見つけることが大切です。
こちらの記事では、歴史ある建物ならではの魅力を感じられるマナーハウスについて解説しています。
あわせて、参考になさってください。
【関連記事】イギリスのマナーハウスに学ぶ|格式と温もりが共存する住まいの美学を解説
海外住宅の外観は建物全体のバランスから考える

海外住宅の写真を見ていると、玄関扉や窓、屋根など、一つひとつのパーツに目が向くことはありませんか。
しかし、美しい外観をつくっているのは、それぞれの装飾だけではありません。
屋根の形や窓の位置、外壁の素材などが調和することで、建物全体にまとまりが生まれています。
屋根や窓の配置を含めて外観を整える
たとえば、英国の歴史的な住宅には、左右のバランスを意識した外観や、レンガとサッシ窓を組み合わせた建物が見られます。
こうした住宅を参考にする場合も、「英国風の窓をつける」といった部分的な取り入れ方だけではなく、屋根や窓、玄関、外壁を含めた全体のバランスを見ることが重要です。
窓の大きさがばらばらだったり、異なるテイストの装飾を数多く取り入れたりすると、目指していた雰囲気から離れる場合があります。
好きな海外住宅を見つけたら、細かな装飾だけでなく、建物全体を構成している線や素材、色のつながりにも注目してみましょう。
玄関までのアプローチも住まいの一部として考える
海外の住宅では、建物だけではなく、庭や門、玄関までのアプローチを含めた景色が印象に残ることがあります。
石畳の先に玄関扉が見えたり、植栽の間を歩いて家へ向かったりすると、道路から室内へ入るまでにもひとつの流れが生まれるものです。
日本の住宅でも、玄関までの距離が十分に取れなくても工夫はできます。
門柱のそばに植物を植えたり、玄関ポーチに自然石を取り入れたりすることで、外と家の間に小さな変化をつくれます。
建物だけを美しく整えるのではなく、家に近づき、玄関扉を開けるまでの時間も住まいの一部として考えることがポイントです。
海外住宅の素材使いを日本の家づくりに生かす

海外の歴史ある住宅には、石やレンガ、木など、その土地で長く使われてきた素材が建物の印象をつくっている例があります。
自然由来の素材には、一つひとつ異なる色や模様があります。
年月とともに色艶が変化したり、小さな傷が加わったりすることも特徴です。
素材を住まいに取り入れるなら、次のような楽しみ方があります。
- 木目や色合いの違いを生かした木材
- 一枚ごとに異なる模様や凹凸を楽しめる石材
- 色むらや目地の表情を生かしたレンガ
- コテ跡や光による陰影が美しい塗り壁
- 木や石と組み合わせてアクセントにするアイアン
すべてを均一にそろえるのではなく、素材がもともと持っている違いを生かすことで、空間に奥行きが生まれます。
こちらの記事では、コッツウォルズ地方で見られる家の魅力や取り入れ方を解説しています。
あわせて、ごらんください。
【関連記事】コッツウォルズの家に学ぶ|石と自然が息づく住まいの美しさを取り入れるポイント
海外住宅の「窓辺の使い方」と「外のつながり」を取り入れる

窓は、室内に光や風を取り込むだけでなく、外の景色を楽しむ役割も担っています。
例えば、庭の木々を眺められる窓や、空を切り取るような高窓、ダイニングから庭へと視線が抜ける大きな窓など、設ける位置や形によって見える景色はさまざまです。
窓を計画するときには、大きさや数に加え、室内からどのような景色を楽しみたいかにも目を向けてみましょう。
窓辺に過ごす場所をつくる
例えば、庭を望む窓辺に椅子を一脚置けば、読書やお茶を楽しむお気に入りの場所になります。
ダイニングでは、食卓から庭の草花を眺められるようにしたり、階段の途中に小さな窓を設けて空の景色を切り取ったりと、窓の配置によって日常の楽しみ方も広がります。
大きな窓をいくつも設けるのではなく、その場所でどのように過ごしたいかを思い描きながら窓を計画することで、外の景色を身近に感じられる住まいになります。
こちらの記事では、室内と合わせて検討したい外観づくりと窓配置のポイントをご紹介しています。
あわせてごらんください。
【関連記事】窓配置でおしゃれな外観をつくる|バラバラに見えない窓デザインと設計のポイント
窓設計のポイント
カーテンや窓まわりまで含めてデザインする
窓の印象は、窓枠だけで決まるものではありません。
カーテンやブラインド、窓辺に置く家具まで含めて考えることで、室内の雰囲気が整います。
床まで届く長さのカーテンを使う、木製ブラインドを合わせるなど、目指す住宅の雰囲気によって選択肢も変わるものです。
新築時から窓まわりまでイメージしておくと、家具を入れたあとの空間を想像しながら計画できます。
照明を一灯だけにせず時間に合わせて使い分ける
海外の住宅やホテルのインテリアを見ると、天井照明だけではなく、フロアランプやテーブルランプ、ブラケットライトなど複数の光が使われている空間があります。
日本の住まいでも、部屋全体をひとつの強い照明で照らすだけでなく、必要な場所に光を分けてみましょう。
| 場所 | 取り入れやすい照明 | 楽しみ方 |
|---|---|---|
| ダイニング | ペンダントライト | 食卓を中心に光を落とす |
| リビング | フロアランプ・テーブルランプ | 夜に落ち着いた明るさをつくる |
| 玄関・廊下 | ブラケットライト | 壁面にも光と陰影をつくる |
| 寝室 | ベッドサイドライト | 就寝前に必要な場所を照らす |
夕食後は天井の明るい照明を消し、ソファの近くの小さな灯りだけで過ごすのも素敵です。
時間帯によって光を変えられるようにしておくと、一つの部屋でも昼と夜で異なる表情を楽しめます。
新しいものだけでそろえず年月を重ねたものを生かす

海外の歴史ある住宅には、新築当時の状態をそのまま保存しているのではなく、修繕や改修を重ねながら使われている建物があります。
住まいも、完成した日の状態を保つことだけが価値ではありません。
無垢材の床に少しずつ色艶が増したり、長く使った家具に小さな傷が加わったりすることも、そこで暮らしてきた年月の一部です。
また、新しい家だからといって、家具や食器まで一度に買い替える必要もありません。
以前から大切にしている椅子、ご家族から受け継いだ家具、旅先で見つけた器などを、新しい住まいに持っていく方法もあります。
新しいものと長く使ってきたものが一緒にあることで、自分たちだけの空間ができていきます。
海外住宅のデザインを日本で取り入れる|気候や性能も重視

海外住宅の外観やインテリアが好きでも、その建物をそのまま日本で再現すればよいわけではありません。
住宅は、それぞれの土地の気候や建築条件に合わせてつくられています。
日本で海外住宅の魅力を取り入れる場合には、デザインと同時に次のような点も考えましょう。
- 日本の気候に合った断熱・気密計画
- 耐震性など必要な住宅性能の確保
- 地域の雨や風を考慮した屋根・外壁材の選定
- 輸入建材の将来的な交換・補修方法の確認
- 日本の生活習慣に合った家事動線と収納計画
海外住宅の雰囲気を優先するあまり、暮らしに必要な性能や使いやすさを後回しにしてしまっては、本当に心地よい家にはなりません。
デザインと性能のどちらかを選ぶのではなく、日本で長く暮らすための性能を確保したうえで、好きな海外住宅の要素を取り入れることが大切です。
海外住宅のデザインと統一感のバランスも大切
海外住宅を参考にしていると、素敵だと感じるものが次々と見つかります。
英国風のレンガ、フランスらしいアイアン、南欧風のタイルなど、好きな要素をすべて取り入れたくなることもあるのではないでしょうか。
しかし、異なる地域や時代のデザインを一度に組み合わせると、家全体の方向性が分かりにくくなることがあります。
まずは、次のようにご家族が好きな住宅の写真を集めてみましょう。
- 好みの外壁の色や質感
- 窓の形や配置に見られる特徴
- 木や石など、魅力を感じる素材
- 明るさや落ち着きなど、好みの空間の雰囲気
- 家具や照明のデザインに見られる共通点
これらを見ていくと、ご自身の好みが少しずつ明確になります。
「海外風」という大きな言葉から始めても、最終的には自分たちが心地よいと感じる要素を見つけていくことが重要です。
海外住宅のデザインだけではなく暮らし方も参考に
海外住宅を参考にするとき、暮らし方まで取り入れるとより豊かな日々を感じられます。
庭を眺めながらお茶を飲める窓辺をつくったり、ご家族が自然と集まれる大きなテーブルを置いたり、夜には小さな照明だけで過ごしたりするのもおすすめです
そこには、家を美しく見せるだけではなく、家で過ごす時間そのものを楽しむためのヒントがあります。
たとえば、「海外の家のような窓がほしい」と考えたときには、デザインだけで終わらせず、その窓のそばでどのように過ごしたいのかまで想像してみましょう。
こちらの記事でも、フランスの暮らし方で特徴的なアペロタイムについて解説しています。
合わせて、ごらんください。
【関連記事】アペロタイムとは|フランスの夕暮れの習慣が教えてくれる豊かな暮らし方を解説
まとめ|海外住宅から自分たちらしい家づくりのヒントを見つける
海外の住宅には、その土地の気候や歴史、暮らし方から生まれたさまざまな特徴があります。
石やレンガ、木などの素材を生かすこと、窓辺に居場所をつくること、家具や照明まで含めて空間を考えることなど、日本の住まいにも取り入れられる考え方は少なくありません。
大切なのは、海外の住宅をそのまま再現することではなく、自分たちがどのような家に心地よさを感じ、そこでどんな時間を過ごしたいのかを見つけることです。
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